この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第9章 代償
 

 傷心で苦しむサクに、姫の代償など必要はなかったのかもしれない。

 サクの心は、痛いほど姫に向かってまっすぐだ。


 ……それはきっと、ユマもわかっただろう。


 ユマは健気な子だ。

 サクがユウナを想い続けるように、ユマもまたサクに一途で、サクのために内面も磨き上げようと必死でいじらしい。


 そうしたユマに絆され、ユウナとそっくりな顔立ちもなにかの縁かもしれないと、それがサクの救いになればと、ユマとの婚礼話を街長と共に進めてはいたけれど、最初からサクは乗り気でなかった。


 そして今、こんな事態なら、この縁談話もご破算になるだろう。


 聡いユマも、きっと納得してくれるはずだ。

 ふたり旅立つのは命がけ。サクは仕官している身、ユマとの幸せな結婚が叶わないのは、致し方がないことなのだと。


 それに、あれだけはっきりとサクの想いが示されてしまえば、"いつか振り向いて貰える"という些細な希望も打ち砕かれたかもしれない。


 ユウナに庇われたあの時のサクは、ユウナしか見ていなかった。

 ユマなど、視界にすら入っていないだろう。

 ……ユマもまた、サクを護ろうと捨て身で止めに入ったというのに。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ