この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第10章 脆弱
 

 一刻も早くユマを――。


 既に街長は、街の民を総動員させてユマを探索していた。

 そこにサクとハンも加わり、各々明かりを手にしてユマを探す。


 自分が逃げ込む場所にいるかもしれないと、サクはいつもの隠れ場所を探したが、そこにもユマの姿はなく。


 漆黒の夜、紅月に照らされた中を走り回るサク。


 やがて……思案顔のハンと合流する。


「どうした、親父」


「ああ、この探索隊に……タイラがいない。あいつなら血相変えて、得意の大声でユマを探してもいいはずなんだが」

「それが?」


 タイラがいないことが、なぜハンの憂いごとになるのかわからない。


「そこでタイラの父、饅頭屋のサカキに尋ねてみたら、タイラは時間を気にして出て行ったらしいんだ。女物の布を持って。それは丁度ユマと姫さんが飛び出して、一息ついた頃だ」

「布? なんだそれ」


「あのタイラがユマ以外の女と逢引きしているとは考え難い。だとすれば……ユマと会ったかも知れん」


「布を手土産にユマの気を惹こうと?」


 サクは考えてみる。

 ユマは贈り物で男に靡く女ではない。だからこそ、簡単に諦めないユマの引き離しにサクは苦心し、そしてタイラもまた苦心しているはずなのだ。


 それでもふたり、黒崙にはいない。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ