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吼える月
第4章 回想 ~崩壊~
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倭暦497年。
倭陵大陸北方の黒陵、西方の白陵、東方の蒼陵、南方の緋陵の4国の国主たる各祠官を従える、倭陵全域の総支配者である皇主に、倭陵随一の術者一族"星見"が警告として献上した書に記された……"赤い満月"の到来を1年後に控えていた。
『赤き満月、其は倭陵四聖獣の封印破れし前兆なり。
魔に輝けし光を持つ者によりて、倭陵暗黒の時代に入る』
赤い満月の夜、異端者の出現によって、倭陵の滅びの時が始まる――。
それを予言ではなく訓戒に留めるために、古くから代々の4国の祠官及び彼らに仕える各武神将達は、事前に策を投じてきたものの、過度に弱気な現皇主の命あって、この時期、各祠官及び各武神将は再度綿密に協議し合った。
そして、不吉な赤い月夜を無事にやり過ごすため、各神獣の力を借りた術にて、まずは各祠官が住まう居城に外敵を弾く強い結界を張り、それを4国繋ぎ合わせ、総じて皇主と倭陵全体の護りとなす――。
4国の連携が必須の大がかりな結界強化と、赤い月に関わる異端者の滅殺に、祠官と武神将達は心血を注ぐことになった。
~倭陵国史~
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