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吼える月
第10章 脆弱
「姫さんの"狂い方"による消耗次第だが、眠ってもなお体が弱っている今の状態からすれば……まる1日が限度だろう。長引けば姫さんは呪詛に負けて、確実に死に向かう。
それを防ぐには、1日でお前は――体内の異形な存在をすべて制御させる必要がある。それがお前が姫さんを救う、前提条件だ」
「………」
「ただでさえ玄武を体内に入れるだけで危険なのに、姫さんの呪詛を鎮めようとするのなら、さらに危険度増した難易度が高いことを、たった1日でやり遂げねばならない。
だがそこまで、お前が危険を冒さなくてもいい方法があるとすれば、ただひとつ」
躊躇うようなハンの声に、サラが応じた。
「――サクではなく、ハンが姫様の呪詛を鎮めるということね?」
ハンは頷いてサクを見た。
「……サク。そして最大の命題はここからだ。
この穢禍術というのはな、男女の"和合"が基本だ」
「和合?」
「そう、つまり……性交だ。
術をかけながら、姫さんを抱く必要がある」
「……は!?」
ハンは言いにくそうに、ひとつ咳払いをしてから続けた。
「つまり……俺か、力をつけたお前が姫さんを抱いて、姫さんの中の"邪"を鎮めねばならねぇ。だから……タイラを連れたあの男が女である限りは、玄武の力を制御出来る器だったとしても、鎮呪すらできねぇんだ。身体的に、姫さんを抱くことが出来ねぇんだからな」
「だ、抱くって……お触りぐらいか?」
「いいや、挿入が必須だ」
途端、サクはゲホンゲホンと咽せ込んだ。