この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第10章 脆弱
「私は大丈夫。これは仕方が無いってわかる……もの……。私、姫様を……助けたい……もの。だから……」
女としての感情を捨てようと、サラは泣きそうな顔で笑い……そして最後には声を震わせ、俯いてしまった。
ハンは切なそうに顔を歪め、サラを胸に抱くと、その頭に唇を落とした。
「ああ、浮気じゃねぇ。俺が愛しているのは、お前だけだからな」
それを見たサクが、意を決して口を開こうとした時だった――。
「ユマ――っ!!」
街の入り口近くで、街長の叫び声が聞こえたのは。
「生きて……生きていただけで私は――っ」
そこに居たのは、号泣している街長。
彼が抱きしめているのは――。
「ユマ!?」
それはユマではあった。
だが服は破られており、ところどころ肌は露出し……月明かりを浴びてユマは……淫靡に乱れた有様だった。
一目で何があったのかわかるその具合。
ユマとサクの視線が合った。
「サク、サク――っ!!」
ユマがサクを見つけて、手を伸ばしながらその場に泣き崩れた。
「ユマ!!」
そのユマの元に、悲痛な表情でサクは駆け付けた。
「私、私、私――っ、近衛兵に……姫様と間違われてっ!! 姫様じゃないって言っているのに、姫様は色狂いして男を誘いまくるから、だからなにをしてもいいんだって、沢山の兵士達に……無理矢理っ!!」