この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第10章 脆弱
ユマの涙ながらの訴えに、思わずサクの足が止った。
今、ユマはなんと言った?
――姫様は色狂いして男を誘いまくるから、だからなにをしてもいいんだって、沢山の兵士達に……無理矢理っ!!
"色狂い"
確かに、あの男装した謎の女は言っていた。
――目覚めれば呪詛により……姫はまた狂う。
"また狂う"、と。
その狂いとは、色狂いだというのか。
自分から離れていた間に、別の男達に抱かれていたというのか。
想像しただけでずきずきと胸が痛み、その男達を殺してやりたい気分になる。それをなんとか押さえ込むように、サクは深呼吸をした。
あの謎の女の言葉を信じるのなら、ユウナが狂っていたのは事実。
そして彼女が庇護し、街の外に居たサラが実際ユウナを見つけてきたのだから、ユウナが街の外に出ていたのは事実。
そして――。
「――っ」
サクは、ユマのガクガクとした両足の付け根から、白濁と真紅が混ざり合った汚濁液が、太腿を伝って伝い落ちている様を見た。
無残にも……凶悪な赤い月の雫の如く、ユマの純潔は穢れた――。
……ユマが、他の男に抱かれたのは事実だ。
あの無残な様子から、輪姦もまた……事実なのかもしれない。
そして――。
「サク――っ、貴方の姫様は貴方の知る姫様ではないわ!! 騙されないで、私見たの、聞いたの――っ!!」
ユマの涙ながらの訴えは。
「あのひと、私のフリをしてタイラに抱かれていたのっ!! そしてふたりで街を出ようとしていたのよ、サクを置いて――っ!! 貴方の"監視"が嫌だからと」