この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第11章 儀式
■□━━━・・・・‥‥……
神獣玄武――。
その昔、月の女神ジョウガと共に、魔に穢れし倭陵を救いたる四獣がひとつ。
その姿は甲羅を背負う亀にも似て、体には蛇を巻きつかせていると言う。
支配する色と姿を名で現わす四獣のうち、玄武のみ、その名に獣の文字を持たぬ。
宛てられているのは「武」――。
"矛を止める"ほど堅固な甲羅、或いは体に巻きつかせた蛇の鱗が鎧のように強固ゆえに……様々な憶測はあるが、一方では防御力に秀でて、温厚そうに思えるこの玄武こそ、一番に獰猛であり常に好戦的でより強い武力を渇望しているから……という説もある。
玄武が操るものは「水」。
よって古より玄武が認める武神将は、どんな試練にも耐えうるだけの堅固さを備えると同時に、水の流れのように、時に緩く時に激しく、捉え処のない者達が多いとされている――。
~倭陵国神獣縁起~
■□━━━・・・・‥‥……