この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第11章 儀式
 
 

 相手にしたのは十人あまり。

 そこから話は広がり、姫を弄ぶために集まったのは三十人あまりらしい。一小部隊ほぼ全員が欲にまみれていた。


 姫を捕えるではなく犯すのは、命令違反だと主張したリュカに、兵士達は責任逃れのために、姫と名乗った女のせいにした。

 リュカの上にいる姫の命令を聞いたからだと。


 そこには罪悪感もなにもなく、祠官代理の力は通用しなかった。


 ユウナは黒崙にいて、本当に色狂いになったのか。


 リュカは、関わった近衛兵を連れて直接黒崙に赴き、真偽のほどを確かめに来たのだったが、わかったのは姫と同じ顔の街娘が、兵士達に犯されたと戻って来ている事実と、それは違うと昨夜乱交に昂じた男達が言っている事実。

 そして、自分と同じ型の……呪いの指輪の存在――。

 この指輪は高価で、街の民が簡単に手に入れられる代物でもなく、そしてなによりリュカが、この指輪はユウナのものだという確信があった。


 拾われた指輪を嵌めた街娘が色狂いになるのはいいとして、なぜそれでユウナの名を騙るのか。リュカはそこがどうしても釈然としなかった。

 なぜ、兵士達に迎えにこいと告げたのか。


 民が買い物から帰還した街には、異常はなさそうだった。

 街ぐるみでなにか画策しているのでは、というのは取り越し苦労のようだった。彼らの日常に狂いが生じた様子はない。唯一割り込んだ非日常的な事象は、ネズミと自分達の存在ぐらいだ。

 証言者も、嘘をついているような挙動不審さはみられない。

 魂胆があって呪いなど作り話をしているのかとも思ったが、相手の物言いはただの素人だ。呪術に詳しい輩ではない。

 見聞したことを、素人特有の単純な思考で推測として述べている以上、現実的な事実の齟齬を見つけようとしても、無邪気に"呪い"という非常識のせいにされては、どうしようもないのだ。

 ありえないことがまかり通るのが"呪い"というものなのだから。

 真実は、非常識の中に隠蔽されてしまう。


 だが――。

 証言はユウナとは別人のものの可能性を示唆しているというのに、同時に強くちらつくユウナの影を、どうしてもリュカは払拭出来なかった。

 なにかがしっくりとこない。
 
 納得いかぬ顔で考え込むリュカを、サラは心配げな面差しで見つめ、ハンも気を緩めてはいない。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ