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吼える月
第12章 心願
『よいか、小僧。その悪い頭でよく聞いて復習するのだ。
穢禍術とは――。
性交により穢れという呪詛が体内を内から駆け巡り、全身に107に及んで散在する生気の溜まり場……"経孔"すべて壊死させた後、屍と化した体を傀儡として、術者の意のままに操る術のことを言う。
呪詛が経孔を繋ぐ血の道…即ち経路を汚染する様こそ、肌に顕現される邪痕である。
穢れて壊死に至る経孔は大きく黒ずむが、完全に壊死する前に生気を送り込んで経孔の治癒力を促した後、呪詛の総量と等しい生気を、同じく性交により体内から送り込んで経路を活性化させれば、肉体の再生力は回復し、呪詛は一時的だが緩和される。
鎮呪で注意すべき点は、呪詛による穢れ具合に応じて、小僧が多量の生気を奪われること。そして鎮呪は相手の意識を引き出して行わねばならぬ。即ち、激痛の最中に行うことになる。その衝撃に相手が事切れなければいいが』
――なんのために俺がいるんだよ、事なんて切らせてたまるか。だてに、あれだけの情け容赦ねぇ攻撃に耐え続けたわけじゃねぇんだぜ、イタ公?