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吼える月
第12章 心願
サクが流し込む生気に、黒ずんで朽ちかけた肌が瑞々しい桜色に変化していく――。
その神々しくも思える嫋やかな裸体の変化がサクを視覚から刺激するが、何度も欲に囚われ貪りたくなる度に、ぎゅっと眉間に力を入れてて詠唱に集中し、サクはユウナに生気を与え続ける。
「う、あああっ!!」
ユウナが苦痛の声を漏らしながらサクを睥睨した。サクに両手を握られてさらに体の上に乗られているために、暴れてもサクの行為の妨げには至らない。
狂暴さを失わない紫の瞳の奥に、痛みに耐えようとする健気な光がある。
痛みを与えるサクをどかせようと暴れる体は、意志の力を持って突如その力を無くし、そしてまた暴れ出そうとする。
本能と理性の鬩ぎ合いのような両極端の動きは、ユウナの自意識がまだ完全には覚醒しておらず、肉体を支配しきれていないことを示していた。
ユウナをしっかりとこちら側に引き出せないのは、こちらの激痛が障壁になっているのだろうことを悟るサクは、なだめるように優しいユウナに語りかける。
「姫様……俺を感じて下さい。痛みではなく、俺の熱を……」
痛みに声を上げながら、ユウナの体が反り返る。
「怖がらずに、戻って来て……俺のもとに」