この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第12章 心願
 

 ユウナの意識が完全に浮上した世界は、苦痛にと共に、サクの熱と匂いに塗れていた。


 痛み主流の半覚醒状態の中、上に重なる男の……長い髪が見えた。

 それが自分の黒髪と絡み合うようにして拡がる様は、扇情的だった。


 上に持ち上げられた両手は、その男の指と強く絡み合ってはいるが、ユウナはその指を動かすどころか、身体のどこも動かすことは出来なかった。

 外部的束縛というより、高熱で体力が消耗し過ぎていたのだ。

 動けないから余計に、こうしていきなりに触れ合っている男の存在に緊張する。


 その伸びた男の腕や、男の長い髪から垣間見えるのは、鍛えられた男の隆々とした筋肉。

 褐色の肌を持つ強靱な肉体は、どこまでも逞しさを持つ異性のもので、雌の本能を刺激する"男"を意識させるものだった。


 ……記憶のサクとは重ならない。


 自分はサクと思われる声に導かれてきたのに、違ったのだろうか。

 見知らぬ男に組み敷かれているのか。


 大体、これがサクだというのなら、なんでこんな状態になっているのか。


 不安にどくどくと脈打つ鼓動は、ずきんずきんとした体の痛みの脈動に合奏するかのように、ユウナの体内から血の気を引かせた。


 凍えた体温と、痛む体。


 それは嫌でも、凌辱された記憶を思い出す。


――苦しめ、ユウナ。


 リュカの呪いの言葉が頭を巡る。


 だが――。



――洗浄です。


 
 胸の谷間を熱く吸い付く唇は。

 灼熱を伝えるその舌の動きは。


 ユウナの不安を押し出すように強く、愛おしむように優しく。


――ここを……洗浄してあげたら、あんなに悦んでくださったのだから。


 これはサクなのか。

 サクの動きを真似た別人なのか。


 どくどく、ずきずき。


 混乱で、体が奏でる音に飲み込まれそうになる。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ