この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第12章 心願
我に返れば、始まる……体の痛み。
サクに感じていたドキドキは、痛みのずきずきにすり替わる。
痛い……。
「俺だって、余裕を持たねばやってられねぇってのに……」
ぶつぶつとしたサクの声が、痛みに掻き消されていく。
痛い……。
痛い、痛い……っ
脈動する痛みは激痛となり、体内から破裂しそうになる。
「痛い……痛い、痛……ああ、ううううっ」
ユウナの口からは苦しみの声が漏れ、眉間にぎゅっと皺が寄せられた。
繋げられた手に力がこもる。
「姫様!? やっぱ一気に行き着かないと、姫様の体には負担がかかるのか。それとも姫様の意識をそらせられない俺が……下手すぎるのか」
少し消沈しながらも、サクは蕾を甘噛みしてより強い刺激を送り、ユウナの心を快感に集中させる。
「姫様……俺を見てください。痛みなんて……放っておいて。姫様……、ひめ……ああ、もう胸では駄目か……」
サクは困ったような顔をしながら、苦悶するユウナの耳もとに囁いた。
「姫様、手を離します。ぁあ、痛くてもがいているくせに、そんな嫌々しないで。大丈夫ですよ、姫様の綺麗な体を愛でるだけですから」
潤んだ紫の瞳を向けて、離そうとしないユウナの手。
あんな非情な書き置きを残したくせに、自我が薄まれば離れたくないとせがむユウナが愛おしくてたまらない。
願わくば、いつも通りのユウナの意識の表層でも、自分を離したくないと駄々をこねてくれることを。
「だったら……一緒に触りますか?」
そんな願いを込めて、持ち上げた繋がったままのユウナの手の甲に口づけを落として、サクは艶笑した。
「姫様の……一番感じるところに」
サクに呼応するように、紫の瞳が妖しげに揺れた。