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吼える月
第12章 心願
「ちょう……だ、い……」
掠れきった辿々しい声で、ユウナは"おねだり"を始めた。
その表情は快楽に傾倒したもので。
「……っ」
……扇情的すぎるその表情は、サクの牡の部分を奮い立たせる。
「サク……ぅ、あつ……ぃ、あそこが……じんじ……ん、あつ……」
紫の瞳が、誘うような挑発的な光を灯したと思った瞬間、サクは呻く。
「やばっ……集中しないと……呪詛がっ、くっ……っ」
完全に鎮めないと、いつ呪詛の反撃を食らうかわからない。
ユウナの艶に囚われ現を抜かせば、生気を抜かれて弱っているサクの体には、呪詛の反撃が激痛となって体にも走ることになる。
そしてそれは猛毒のように体内を穢して、残れる生気を汚濁して巡ろうとするのだ。
軽口を叩いてユウナを苦痛からそれるようにしていたサクだったが、その実……何度もユウナの艶にくらくらしていたために、走る激痛を体内で相殺して浄化しながら、ユウナに生気を流し込んでいた。
生産が追いつかぬ生気を流し込めば込む程、相殺力は薄まっていくため、確かにユウナに恋する身としては拷問だった。
紫の瞳をしたユウナの艶は、凄まじい。
呪詛を鎮めぬ限り、魅惑された男達は発情して、ユウナに動物のように盛るだろう。
ユウナの自意識があればこそ、そして苦痛がまだ残留していればこそ、今はまだこの程度ですみ、自分主導で進めているが、ユウナから痛みがなくなり、自意識が薄れた状態で誘惑されれば……欲情を煽られた自分は、きっと人間を棄ててユウナに溺れて壊れるだろう。
それくらい、噎せ返るようなユウナの艶だった。
紫の瞳を、魔性の瞳を消すには、完全なる鎮呪を成功せねばならない。
「サ、ク……ぅ」
詰まる息を整え、サクは笑って見せる。
怒張した己自身は痛いほど。
もう、こうしていられるのも限界だった。