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吼える月
第12章 心願



「……ぁ、んっ……」

「……くっ……」


 こんなに蜜で溢れているというのに、ユウナの蜜壷は狭すぎて。

 男を迎えた経験の少なさを物語っていた。


 だがその唯一があの忌まわしき金色だと思えば、ただ見ているしかできなかったあの場面を思い出す度に、腸が煮えくり返りそうだ。


 暴漢者に奪われるくらいなら、自分がユウナの最初を貰いたかった。

 最初で最後の男になりたかった――。


 そう思う恋心は呪詛力の反発となる。

 ユウナの胎内に侵入する自分は、排除すべき異物だとみなされ、痛みの猛毒を流し込まれる。


 過敏な部分から流し込まれる呪詛の大きさは半端なく、防戦としてその力の大きさを推し量りながら相殺していかねば、よくて不能、最悪致死。


 常に見張られているような戦慄を感じる性交に、ゆっくりと愛しいユウナを味わう暇もなく。


「……記念すべき俺の初めてを、トラウマにさせるなよ、畜生」


 脂汗流しながら耐え凌ぎ、怒張するサクの大きな肉棒が、膣襞をぎちぎちと押し開くように、ユウナの体内に忍ぶ。


「は……ふぅ……んっ、んん……」


 ユウナが苦しげな声を上げてサクに抱きつき、かぷかぷとサクの肩を噛む。


 それでも痛いと言わない。

 それでも拒んで押しだそうとしない。


 ユウナの今の心はわからないけれど、自分を受け入れようとしているその姿がいじらしく思えて、サクは苦しげな顔に笑みを浮かべて、ユウナの頭を撫でる。


 するとユウナは、涙で薄く膜が張られた紫の瞳でサクを見つめてきた。

 なにかを訴えるような切なる瞳――。
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