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吼える月
第12章 心願
「……どうしました?」
僅か息を弾ませ、掠れた声で首を傾げて尋ねるサクに、
「苦しそう……」
嘆くようにユウナは言った。
「幸せ……そうじゃない……」
サクは苦笑した。
跳ね返す術に没頭する姿を、勘違いさせてしまったらしい。
不満げな思いを伝えるかのように、きゅっきゅっと締め付けるような動きで、サクを煽るように責めてくる。
サクは眉を潜めた。
「姫様。その……きゅっというのやめて……」
「きゅ……?」
「あ、それです。それは……だから、それはだめです。俺、初心者なんだから、お手柔らかに……」
笑う余裕を見せながらも、その実、快感の奔流に流されそうな切迫感に怯え、息が乱れている。
「サク……幸せ……?」
ユウナの自意識が戻っていないくせに、サクの幸せばかりを願う紫の瞳。
ひとの幸せよりも、自分と繋がれた悦びや快感を感じて貰いたいと願うサクは、ユウナの頬に手を添えて妖艶に微笑む。
「幸せですよ……? 姫様のナカがすごく熱くて優しくて……」
そしてサクは眉間に皺を寄せると、ぐっと腰を上に突き上げ、一気に最後まで押し入れた。
「……あ、……っ」
突然奥まで貫かれ、詰まったような声を出したユウナの上体が、後方に反り返った。
その体を両手で支えたサクは、ゆっくりと自分の方にその体を引き寄せ、愛おしげな表情でユウナを見る。
「痛くは……ないですか?」
「ん……」
ユウナは伏し目がちに、長い睫毛を震わせながら、胎内の大きな異物に慣れようと、細い息を整えているようだ。