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第12章 心願

　
　

　ぐじゅ、ぐじゅ……。


　ふたりの濡れた粘膜が擦れ合う、淫らな音が響く。

　緩やかな動きなのに、音が出るほどに蜜壷は蜜で溢れかえっていた。


「は……ぁっ、はぁ……ん、んぅ……っ」

「……っ、ん……ぁ……っ」


　蜜壷から肉棒が出入りする度に、熱っぽい吐息がふたりの口から漏れ出て、重ね合わせたい唇の代わりに、互いの体を抱きしめ合う。


　サクは肉欲に走りそうな己を律しながら、過敏な熱を感じ取る己自身から、ユウナの呪詛を推し量ろうとしていた。


　ユウナの呪いを鎮めるために――。


　そちらに集中しないといけないのは、初めてユウナと繋がれたサクにとっては、酷なことだった。


　こんなに熱い膣襞に包まれて、絡みつくような歓迎を受けているのに、心からそれに応えられないのがもどかしくて仕方が無い。

　だが、心から応えられる状況では、きっとユウナと抱き合えていないのだろうと思えば、我が身を辛く感じてしまう。



「ぅ……くっ……」


　ユウナは、押し寄せる快感の波の狭間で、僅かに残る自我が葛藤を始めていた。サクとこうした本格的な性交が始まるにあたり、戸惑いが芽生えていたのだ。


　サクとこんなことをしていいのだろうか。

　こんなことでサクは幸せになれるのだろうか。


　今さらながらの自問自答が始まれば、ずきんずきんと体に痛みを感じてしまう。自意識の理性を強めれば、痛みも強まるようだった。


「姫様……？　大丈夫ですか？　少しやめますか？」


　痛みを感じ始めたことを、胎内の己自身で感じ取ったサクは、神妙な顔で肉棒を引き抜こうとしたが、ユウナが頭を横に振って抵抗した。　


　
「やめちゃやだ!!」


　両足でサクの腰を締め上げるようにして、さらにぎゅっと力一杯ユウナがサクに抱きついた。