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吼える月
第12章 心願
 

「ああ、感じているんですね……伝わってくる……」

「ああんっ、サク……ナカでびくびくしないでぇ。それされると、んん、はぁぁ……っ、大っきくなった……壊れる……っ」


 快楽に走る嫋やかな体が、ぐっと後方に仰け反る。


「これくらいでは壊れませんよ。壊れるっていうのは……」


 胸の邪痕が薄まっているのを確認しながら、サクは魅惑的な胸の頂きに吸い付いた。

 強く吸引すると、嬌声をあげるユウナの体が悩ましげに揺れる。

 舌で蕾をころころと転がしながら反対の蕾を指の腹で捏ね、片腕で持ち上げた尻から手を離せば、


「ああああっ、それ駄目……奥までずんってしちゃ駄目ぇぇぇっ」


 上から落ちるようにして肉棒を奥まで突き刺したユウナが、目尻から涙を流して悶えた。


「ふふふ、疑似体験……どうですか?」


 余裕ない顔で笑いながら、サクは抽送を辞めない。


 サクの理性はぎりぎりのところにいた。

 滾る本能を抑圧し、突き上げる肉棒から必死に力を送り続けて、邪痕を消そうとしていた。


 もしもここで、ただ我武者羅にユウナを抱いてしまったら。

 中途半端な力は呪詛の痛みとなって、ユウナに襲いかかる。


 今、快楽に麻痺しているユウナを上り詰めらせて、鎮呪を終了できたら……とりあえずは任務は完了。


 だが鎮呪がなされれば、黒い瞳のユウナは……きっと自分に体を拓かないだろう。……そんな気がしていた。


 だから――。


「壊しはしませんよ、姫様。大事に大事に……治療します」


 ユウナの体を愛でられるのは今だけ。


「ああ、やぁぁぁ……サク……ぁあっ、変になり……そうっ」

「なってくださいよ、姫様。俺の分も乱れてください」

「サク……っ、ねぇ一緒に……」

「俺は……イクことはできません」

「やっ、サク……一緒にっ」


「……姫様、俺は――……」


 

 そんな時だった。




『我の声を聴いて返事をしろ、この馬鹿者がっ!!』



 怒り狂った声がしたのは。



『艶に囚われる腑抜けを武神将などにさせんぞ、小僧――っ!!』



 シャーッ。


 それは――

 ユウナの頭の上で、牙を剥いた。

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