この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第12章 心願
 
 まだまだ幼い姫だとハンは思っていた。

 世間知らずで悪戯好きで無鉄砲でお転婆で、何度小さな尻を叩いて怒ったことか。

 年上だろうとお構いなく、最初からサクをよく泣かせて困らせて笑っていた……そんな愛くるしい姫。おかげでいまだサクは泣いてばかりだ。


 ……間違っていない。


 サクは、命を捧げて愛すべき主人を間違ってはいない。

 ユウナは、主として……上に立つものとして、その器があることを見せたのだ。……それが今はまだ、片鱗に過ぎないとしても。


 ハンは笑みを零した。

 
 いつか自分も、ユウナに仕える時がくるだろうか、と。


 そんな時が来るのなら、面白い世界になりそうだ。

 きっと自分は瞬く間に、苦労の白髪が増えるだろう。


 だがきっとそれは、泡沫に消える……楽しい夢――。



「ハン、サラ。謝るのは俺の方だ」



 ハンの目の前でサカキは真面目な顔で頭を下げた。


「まずは、我が身保身にすぐにサクを保護しようと言えなかったこと。サクを攻撃しちまったこと。すごくそれを悔いている。それは皆も同じらしい」


 一同反省したように項垂れていた。



「そして、うちの愚息のこと。サク達を……仲間を売るなど、一番してはならぬことをしでかした。気狂いになっちまったのは、天罰だ。

だから代わりといっちゃなんだが、街長から頼まれた、姫へ返還するつもりのあの指輪について、でたらめなことを押し通そうとして、逆に追いつめちまった、ふたりを。……兵士達が帰ったところを見れば、この建物の中でうまくやり過ごしたんだろうと安心したが、すべてはただの結果論」


「そんなことはない。お前の機転で切り抜けられたじゃないか」

「そうよ、私達はサカキのおかげで……」


「……そう、いって貰えれば、いくらかは心が軽くはなるがよ…。だが不穏さはますます強まった。コトが急く原因を作ったのは……俺と俺の息子には違いない」


 ハンとサラは困ったような顔を見合わせた。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ