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吼える月
第12章 心願
下腹部が……とりわけ秘部がじんじんとして少し痛い。
乱れた服。ほぼ全裸の自分の体。
乱れた寝台の上。なにかが飛び跳ねたような染み痕。
そして男も……ほとんど服が機能を果たしてはおらず。
汗ばんでいる肌が、やけに艶めかしい。
自分は、この男に――?
そう思うと、呼応したように子宮がきゅうと疼いた。
ゲイに凌辱された時のような恐怖感は、不思議と芽生えなかった。
ユウナの脳裏に、声が閃光のように蘇る。
――治療です。
その声は――。
男がこちらを見た。
「ああ、目覚めたんですね、姫様」
疲れ切ってはいるが、野性的に整いすぎた顔。
サク……ではない。
もっともっと男臭く大人びた、思わず惚けてしまいそうなほど、魅惑的な色気に満ちた男だ。
どこか、ハンに似ている。
艶然と微笑まれれば、心臓がぎゅっと掴まれた感じとなり、息苦しい。
熱く火照る体は確かに、この男に抱かれたことを覚えていた。
優しく激しく、この男と……交わったのだ。
嬌声をあげて、この体を求めたのだ。
この見知らぬ男と、自分は――。
ユウナから、血の気が引いていく。
――姫様、これは治療です。
だが声は。
「治療効果は抜群でした」
ユウナの耳に心地よく届く、甘やかなこの声は。
「治療……?」
「はい、治療です。治療以外のなにものでもありません」
サクのものだ。
自分が聞き違えるものか。
この声はサクのものに間違いない。
優しく見つめてくる黒い瞳は、サクのものだ。
だとしたら、自分はサクと――?
今度は"洗浄"ではなく、"治療"……?
サクだと体は感じるのに、男が紡ぐ言葉はユウナを拒絶するかのように冷ややかなもので、無情にも突き放されたように思ったユウナは、無性に泣きたくなってきた。