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吼える月
第13章 献身
「亀?」
「ああ。ネズミを食わせろって言ってた、あの片手に乗る小さな亀だよ。頭に乗せてネズミ取っていた以降リュカ達が来て……気づいたら頭にいなかった」
「ああ、イタ公なら表で逃げるネズミ食い漁ってたぞ、元気に。あいつすばしっこいからな。それで見えなかったんじゃねぇか?」
ハンは訝しげに目を細めた。
「は? すばしっこい……"イタ公"?」
サクはなんでもないというような顔で答えた。
「ああ。イタチだから、白イタチ。……亀じゃねぇよ。どうしたら、イタチが亀に見えるんだよ。なんだよ、もう老眼かよ」
そしてからからと笑う。
「イ、イタチ? 甲羅背負ってのそのそ歩くあれが、イタチ!?」
「それ、亀じゃねぇかよ」
「だから亀だろうが」
「ああ、もしかして親父、玄武の力が少ないから亀に見えたのかな。あいつ……イタ公は、玄武と先住者の融合した姿で、俺が作ったんだ」
「はあああ!?」
軽く言ってくる息子に、ハンは驚愕して目と口を開いた。
「イタチってのは、リスをもっと大きくしたような感じで、白い毛でふさふさした縦長の生き物だ。白く長い尻尾しててさ、あいつ怒りっぽいからすぐに赤い目で"シャーッ"って口開けて牙剥き出しになるけどよ、黙っていれば、くりっとした目をしていてそれなりに可愛い。時々、イタチ忘れて二本足で歩いてるけど」