この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第13章 献身
 
「連れて行って下さい、姫様。まだ今はどこをどう進めばいいのかわからぬ暗闇であろうとも、必ずサクが支えになります」

「………」

「嫌いですか、サクを」

「大好きよっ!!」


 それは即答。


「大好きだからあたしのために……」

「おにぎりと一緒です、姫様」


 サラは微笑んで、さっさと綺麗な形状のおにぎりをユウナの前に置いた。


「頭でごちゃごちゃ考えず、ただ気持ちを込めればいい。美味しく食べて貰いたいひとを思い浮かべさえすればいい。

さあ、姫様握ってご覧なさい。食べさせたいひとが、幸せな顔で食べてくれている瞬間を思い浮かべて」


「………。……まぁ!!」


 それは初めて綺麗にできたおにぎり。


「今、誰に食べて貰いたいと思いました?」

「……サク」


 照れ臭そうに、しかし素直に呟かれたその名前に、サラは実に嬉しそうに微笑んだ。


「それだけでサクは十分です。たとえ姫様のためにサクが辛い目にあおうとも、姫様がそうやってサクの幸せを考えて、サクのためになにかをして下さったのなら、サクはそれだけで……幸せなんですよ」

「……本当?」


「ええ。後で聞いてみてご覧なさい」

「……わかったわ」



 そしてユウナはひとつ深呼吸をすると、急に真面目な顔をして、サラに向き直った


「――サラ、あたしは本当になにもできない。おにぎりひとつロクに作れない、姫とは名ばかりの世間知らずです。

だけど……もしサクが、そんなあたしでもいいと言ってくれるのなら。そんなあたしの傍にいてくれるというのなら。サクが……少しでも幸せを感じられるよう、あたしもまた……少しずつでも成長しますから」



 ユウナは、サラに深々と頭を下げたのだった。



「貴方の息子さんを……私に下さい」







「ぷ、ぷぷぷ……」



 堪えきれないというような……そんな声が漏れたのは、ユウナの後方。

 ハンがきつく結んだ唇を震わせ、噛み殺した笑いに身悶えしていた。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ