この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第14章 切望
  

「サク、その力……父に貸せ!!」



 ハンは姿なき息子に叫んだ。


「偉大なる玄武に願い奉る。

我の片目を代償に今ひとたび、その息吹、玄武の武神将ハン=シェンウとその妻、サラの刃に宿り賜え!!」


 親子だからできること。

 最強の武神将として玄武に愛されたハンだから出来ること。


「ハン――!?」


 ハンの右目から血が吹き上がった。



「大丈夫、サラ。俺は大丈夫!!」



 かつて自分の中にあったその馴染み深い力の制御に回るハンは、その力の一部を引き出して自分とサラの刃に流した。

 水流の飛沫が、雨滴が……刃に降り注ぎ、冴え冴えしい光を宿す。


「お、お前……なにを――っ!?」

「悪ぃな。折角俺から玄武の力を奪っても、武神将には……濃い血の繋がりによって成し遂げられる、嘆願の儀っていう最終手段があるんだよ。片目さえあれば十分。片目さえあれば、未来を見れる」

「ハン、ハン……」

「泣くなサラ。俺は生きている。生きる為の片目ぐらい、安いものだ。さあ、サラ。お前も感じるだろ。それが玄武の力。

俺とともにあって、これからサクと共にある力は、今は……お前と共にもある。熱いだろ。俺達家族は、熱い絆で結ばれている……!!」

「これで私も、本当の意味で玄武の武神将の妻に、母になれたのね!!」


 そしてふたりは頷き合って跳ねた。

 
 濡れた昏い景色の中、ハンとサラが絶え間なく繰り出すのは鋭い風刃。

 金が纏う穢れた者達を切り崩しに行く。

 中核にいる、金を消すために。


 邪に護られる金色はまた……揺れる。

 勢いを盛んにさせる前兆か、消える前兆か――。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ