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吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~
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蒼陵国――。
神獣青龍を祀る祠官と、その力を持つ武神将が住まう海に囲まれた国。
倭陵東部に位置し、広大な海原に浮かぶように点々と土地がある。
もともとは大陸に連なるひとつの土地ではあったが、海が氾濫して地盤沈下が起き、さらに水位が上昇するという水害が酷かったため、海に沈まぬ浮き石…と呼ばれる多孔質の特殊な石材にて、人工的な浮島を作り出したところ水害が減り、その形で定着したと言われている。
よって、海に浮かぶこの国における移動手段は主に馬よりも小船であり、人々は船で乗り付けながら買い物ができる。
この国には、海に関したものを加工できる技術系の職人が数多く存在し、虹色に輝く珍しい貝殻である虹彩貝を装飾品に加工したものや、国の主彩色である水色に近い青色に、神獣青龍を模したような…曲線じみた刺繍が施された「青龍織」、そして新鮮な海鮮料理が名産品である。
蒼陵の民は、陽気でおおらかな性格のものが多く、四季に左右されない一定した高い湿気対策として、通気性のいい麻布の薄手の服を好む。
また、直射日光を遮る高い山や林がないため、褐色に焼けた肌を持つものが多い。
~倭陵国史~
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