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吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~ 
  

「神獣は……4つの大自然の力をそれぞれ司る、か」


 馬鹿だと定評があるサクとて、4つの大自然の力くらいわかる。

 地、水、火、風……のはずだ。


 そこからジウの持つ青龍の力について考えてみる。

 
「武闘大会で戦った時、ジウ殿は地面割って地下水を捻りだして渦巻かせ、暴風を生んだ挙げ句に会場を火事にさせたからな。

結局、何の力だったのか全然わからねぇ」


 消去法で行くことにした。
 

 黒陵が祀る玄武が司るのは、水。これは確定。

 南の緋陵が祀る朱雀は、元朱雀の武神将である母の気性と持っていた刀の色から、火を司るような気がする。

 西の白陵が祀る白虎は……。



――…ソウマって?

――ああ、白虎の武神将だ。武神将のくせに体を使った仕事をやりたがらねぇ、あの極度の唯美主義かつ自己愛主義野郎だ。

――やたらいい頭をひけらかし、星見だのジョウガだの、そんなどうでもいい伝承の知識を俺に得意気に自慢しやがる。武闘大会は棄権ばかりしてるくせ、倭陵の頭を使う大会には必ず出席して優勝する、武術こそすべての武神将の風上にもおけねぇ、軟弱野郎だ。


「風変わりということで風? 我が道を行くということで地? ああ、駄目だ。白陵の武神将は特殊すぎる。だったらジウ殿は……雰囲気的に地だよなぁ。親父曰く結構頑固みてぇだし。……だったら白陵が祀る白虎は風の力、蒼陵が祀る青龍は……地の力か」
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