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吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~
膠着状態ではいたくない。
このままではいたくない。
この想いが止らない。
父の想いが、母の想いが……自分の想いの糧になった。
男として、必要とされたい。
愛する男女として、心まで繋げたい。
離れられないという確証が欲しい。
サクは両親を思い出す。
愛し愛され、どこまでも幸せそうだった夫婦。
息子として時にうざくなり、時に恥ずかしくて他人のふりをしていたこともあったけれど、それでも周囲の目線よりも互いの愛を尊重していた夫婦。
やはり……彼らのような愛し合い方をしたい――。
告白することで、逆に今まで我慢してこれた欲が増大してしまった。
実際口にした愛の言葉が、言霊のように熱を持つのだ。
改めて思う。
自分はユウナを愛しているのだと。
ユウナ以外はどうしても考えられないと。
ユウナに求められる男になるために――
未熟な自分を鍛えたい。
ユウナの目に映るどんな男より、輝いていたい。
自分ことだけを考えさせたい。
彼女を傍で護るのは自分だけだという……正当な理由が欲しい。
特別の意味を、もっと特別にするために――。
そのためにも、対外的にも確固たる絆が欲しかった。
今まで培ってきた絆を超える、自分だけしかもてないユウナとの絆が。
……ユウナの言う"特別"に、自分が欲しい「愛」をまだ望めぬのなら。
武神将として、神獣玄武の力によって結ばれる……神に祝福された誰よりも強い繋がりを持ちたい。
今までの主従関係を超え、リュカとユウナの絆すらを超える、強固たる絆を。
"忠誠の儀"をしたい――。
自分の誠なる心を、ユウナだけに捧げるために。
それを、ユウナに認めて貰うために。
ユウナと一心同体になるために――。