この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第17章 船上2
 

 この先、本当に光は見えるのか。

 本当に1年前とは違う道を辿れるのか――。


 そんな猜疑心に囚われ、息が詰まるけれど。


 それでも、進むと決めたからには。

 それでも、諦めないと決めたからには。


 今までのように、この辛い感傷に尻込みするわけにはいかないのだ。



「あたし……ん……っ」



 ユウナの息が乱れ、顔がさらに紅潮していた。

 苦しげにぎゅっと目が瞑られ……そして開かれたその目は、誘惑しているかのように妖しげに揺れ、熱っぽく潤んでいる。

 はぁはぁと苦しそうな息遣いが、抱いた時のユウナの喘ぎと重なり、サクは急き立てるような己の欲を、必死に押さえつけた。


 飲み込まれるな。

 理性を保て。



 唇に絡むユウナの乱れ髪。

 そっと指で掬い取った拍子に僅かにその頬に触れただけで、ユウナは小さく喘いだ。


 恍惚めいた、快感を覚えた女の表情。

 
 こんなに物欲しそうにしているくせに――


「あたし……我慢する。サクが……治らないなら、治療はいらない」


 赤い唇から出る言葉は、サクの心を深く抉る毒の剣先となる。

 治らない、それは即ち……。


「そんなに嫌ですか、俺に……心をやることは」



 媚薬を使っても、理性を超えて求められない男の矜持が傷つけられる。

 そこまで自分は、男として魅力がないのか。


 深く傷ついたその表情に、ユウナは狼狽の色を顔に浮かべた。



「違っ……。違う……の、そういうのじゃなく……」

「じゃあどういうことで?」


「その……。サクが欲しいのは……、そう簡単に上げられるものでは……ないと思う……の」

「え?」


「欲しいと言われれば、なんでもあげる。だけど……ここであたしがうんと言って……それは、サクが……本当に欲しいもの……?」


 荒い息のもと、苦しげにユウナは訴えた。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ