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吼える月
第17章 船上2
 
 やがて……胸の頂きがじんじん疼いてたまらなくなる。
 
 偶然にも、触れて貰えなくなったことが、もどかしい責め苦となる。


「サク……ぅ」


 言えない。

 胸の頂きにある蕾を、強く摘み取ってくれなどとは。

 だから胸をサクに押しつけるようにして自己主張して、察してくれと切ない眼差しで訴えているのだが、


「姫様……、恥ずかしいだけ?」


 サクの顔には、意地悪げな笑いが浮かぶだけ。


「サク……っ」

「ん……?」


「触って……欲しいの……っ」

「どこを?」


 ユウナの顔が赤く染まる。


「姫様……?」


 強く揉み上げながら、人差し指で蕾を軽く揺らすと、ユウナは過剰なほどに身悶えた。


「そこ……っ、サク……そこっ」

「どこです? ここ? それともここ?」


 わざと見当違いのところを指で刺激するサクに、ユウナは目から涙を零しながら嫌嫌と頭を横に振った。


 たまらなく、刺激が欲しいのに――。


「姫様……お口があるでしょう? ちゃんと言って下さい」


 それでもサクの意地悪は止らずに、言わせられる。


「胸の……胸のてっぺん」


 そう、弱々しく言うのがやっとで。

 眉を下げてか細く答えても、サクは満足しなかったようだ。


「ここですか?」


 触れられたのは乳輪で。


 そして焦れすぎたユウナは、陥落する。

 

「胸のてっぺんで、尖っている……ち」

「ち?」



「乳首……っ」



 恥じらいを棄てても、自分を求めて欲しいサクは……、姫が答えた羞恥の単語にやっと満足して、目尻から溢れている涙をまず舌で掬いとった。


「すみません、意地悪して。姫様があまりにも可愛いものだから」


 そして――。


「可愛い、俺の姫様。……お望みのままに」


 指で両方の胸の頂きを、きゅうと強く摘む。


「はぅぅ、ぁぁぁぁん――っ」


 ユウナの身体に、強く走り抜ける強い快感――。


 ユウナは身を反らして、歓喜の嬌声をあげた。


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