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吼える月
第17章 船上2
「あたしばかりはしたない姿を見せるのは嫌。だからサクも脱いで」
「は!? ちょ……っ」
「サク……もっ、乱れないと……!! 不公平すぎるっ!!」
「ふ、不公平!?」
ユウナは詰るような目を向け、サクの下衣を脱がしにかかる。
ひとりで果てに達したのが悔しいのと恥ずかしいのと、そしてひたすら我慢のサクに対して申し訳ないのと。
ユウナを駆り立てたのは、"ひとりだった"という孤独感。
「言ったでしょう!? 俺は、姫様と両想いになってから……」
「最後までいくかどうかの話でしょう!? 繋がらなくてもあたしが弾けたように、サクだって気持ちよくなれる方法あるじゃない。だったら、二人同時に気持ちよくなれる方法だってあるでしょう!?」
ユウナに半ば押されるように、サクはたじろぎながら答える。
「な、ないこともねぇですが……」
「だったら!! ……サクの……気持ちよさそうに喘ぐ顔、また見たい。最後までじゃなくても、一緒に……気持ちよくなりたい。ひとりじゃなく、ふたりで」
まだじんじんとして火照る身体。
一度達した身体は、再度の快楽を求めて昂ぶるばかりで。
だからこそ、サクを置いていってしまったことに罪悪感があるユウナは、ひとりで盛大に快感を感じてしまったからこそ、……それをまた、感じたいと思えばこそ。
あの宙に身体が浮くような……絶大な気持ちよさを、サクにも味わって貰いたい――。
そう思ったのだった。
最後まで繋がるという行為に対する抵抗が残るユウナにとって、自分の心を大切にしたいからと禁欲するサクの心は正直嬉しい。
だったら――。
サクを気持ちよくさせたいという心も、守って欲しい。
また、あのサクの顔を見たいのだ。
――すげぇ……気持ち…いい……っ。
――ああ、たまらねぇ……姫様。
腰の辺りがぞくぞくする、サクのあの恍惚とした顔を。
気持ちがよすぎるあの果ての世界に、サクと一緒にいけたのなら――。
「あ、喘ぐって……」
"言葉攻め"をされる立場には慣れていないサクは、不意打ちの攻撃に顔を赤らめた。