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吼える月
第17章 船上2
 

「すごく……気持ちよさそうに、色っぽかった。……きゅんとした」

「……っ!?」

「また見たい。またあの顔ではぁはぁして貰いたい。あたしみたいに、心ゆくまで……。あたしに見せて欲しい。サクの……乱れる姿」

「お、俺はさっきので十分……っ」


 直球過ぎるユウナの言葉に、サクはただ掠れきった声を出して狼狽すれば、ユウナはとろりとした瞳でじっとサクを見つめた。


「それに……。悔しいの、サクの余裕」


 そして、その顔をサクに近づけると、間近でサクに詰問した。



「どうして、あんな淫らなこと……サクは知っているの?」



「……っ!?」


「……しかも…慣れてるわよね。どうして? サクは……武人なのに、ずっとあたしの傍にいたのに…どうして色事に知識があるの? 勉強はてんで駄目なくせに。誰に教わったの?」


 話が……まずい方向にそれてきたと、サクは冷や汗をかきながら、ユウナをなだめた。


「ひ、姫様……まず落ち着きましょう。ね?」


 狼狽えるサクからは、ユウナが納得して安堵するような言葉が返ってこない――。


「サクは、誰かと……経験、あるんだ?」

「っ!?」

「あるんだ!!」

「あ、ありませんよ。俺、最後までは……っ」


 急に、空気が冷えた。


「最後の前までは、あるんだ!?」

「あ、あの……ひ、姫様? 目が……据わっているような…?」

「誰と? あたしの知っているひと? ユマ?」

「ち、違います!! 姫様は無論、俺ももう顔すら思い出せねぇ、色街の商売おん……あ」

 馬鹿正直に答えてしまえば、ユウナの顔が悲しみに曇っていた。


「色街……。行ってたんだ、サク」

「ひ、姫様、あ、あの……これには理由が……っ」


 ユウナはきゅっと唇を引き結ぶと……、


「いっ!?」


 再びサクの下衣を下げにかかる。



「……さっきより大きい、"これ"のせいでひっかかって脱げない。えい、えいっ」

「イテテ。姫様、乱暴にしないで……ああ、姫様っ、駄目ですってば!!」
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