この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第18章 荒波
 

「ん……難しいわね、言い方が。サクであってサクではないような。それにひとりで妙に大人びちゃってたし。なんていうか、ひとりで達観しちゃってるような?」

「それでいけば、喜怒哀楽が激しい今の方がガキだということで?」

「違うわ。大人なのは断然に今の方。どうしてなのかしら…。やはりあの玄武殿を脱出して、武神将になったから?」


 思わずサクは苦笑する。

 なにもわかっていない愛しい姫。

 少し頭を働かせれば、なぜその1年を限定して様子がおかしかったのか、察してくれてもいいものを。

 まだ、自分の想いは……身近に考えられていないのかもしれない。


 そこに残念感はあるものの、それでも今は、1年前とは違うから――。

 ユウナに、想いを伝えられる環境にあるから――。


 サクはユウナをぎゅっと抱きしめながら言った。


「……八方塞がり状態の中で、ようやく道が拓けたからですよ。ここまで来るのに、多くの時間と沢山の人に迷惑かけてきましたが」

「え?」


 ユウナはきょとんとした顔で、サクを振り返る。


「意地悪も愛情の裏返し、ということです。自分の気持ちに素直になった分、素直になることを許された分……、俺はきっと姫様限定で意地悪になれるんです」


 やけに朗らかに笑うサクを見て、ユウナは眉間に皺を寄せて難しい表情をした。


「………。それ、あたしは喜んでいいの?」

「そりゃあ。俺、愛がない意地悪はしませんし。姫様だけに特別です」

「ん……、ありがとう……って言った方がいいの? だけど意地悪は意地悪だし、だけどあたしだけ特別というのは悪い気もしないし。うーん……」


 真剣に考え込んでいるユウナを感じ取り、サクはくすりと笑って話題を変えた。
 


「なんか……腹減りましたね」



 きゅるるるるる~。


 そう言った途端に切なげに鳴り響いた、ユウナの腹の虫。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ