この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第19章 遮断
 

『明確にどんな力なのかと言い切れぬのが口惜しいが、"誰か"と個々に固定するよりも、なにやらあの"場所"が気になるのだ』


 そういえば、おかしな笑いを披露するに至った元はといえば、イタチが黒陵の位置を聞いてきたからだと、サクは思い出す。

 黒陵の位置というよりも、今居る地点が、全体図でどこらへんにいるものなのかということを聞きたかったのかも知れない。


『のう、小僧。我の記憶によれば、黒陵から蒼陵に山伝いでいけぬのは、蒼陵領地とを繋ぐ山脈が、険しすぎて命の危険があるからだとか』


「ああ、そう聞いている。何でも蒼陵に入ろうとすると、壁のように高くて険しい山脈が延々と連なり、生き物が移動する足場もないとか。それならば遠回りでも海経由の方が安全だと、専ら船で蒼陵に入るようになった。

だけどまあ、海にもサメだとかいうあんなものが襲うのなら、安全だとは言えないがな。親父やお袋は遭遇しなかったんだろうか」

『もしかすると、青龍の力が及ばぬゆえに、今、怪魚が現れるようになったのやもしれぬ。昔、我がハンを通して見ていた限りでは、青龍に守られて穏やかな海だったからな。それより小僧、お前は倭陵地図を見たことがあるか?』


「地図? ああ、それなら親父に何度も叩き込まれた。目を瞑ればありありと思えるほど、倭陵……特に黒陵国周囲の地形を把握しろと。自慢じゃないが、絵筆があればさらさらと書けるくらいの自信がある。問題は、絵心がねぇらしいから、詳しく説明しねぇと周囲はさっぱりわかってくれねぇことだ。そこまでへたくそなのかな、俺の絵……」


『……ふむ。お前の絵の腕など元から期待はしておらぬ。小僧は、記憶力はいいのだがそれを知識として後日意識の表層にて再現できぬゆえに、"馬鹿"なのだ。再現ではなく、その記憶を直接覗けば小僧も役に立つ』

 なんとも。貶しているのか褒めているのかよくわからぬまま、イタチは目を瞑って、その小さな手をサクのコメカミにあてた。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ