この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第20章 対面
「か、感触……っ!? 堪能……っ!?」
腰に巻き付いた手らしきものが、ぎゅっぎゅっと力を入れて、男としての存在感を主張している。
「そうです。いっそ服を脱ぎますか? それとも……姫様の違うところへ触った方がいいですか? ……舐めた方がいいとか? 姫様、お好きですものね?」
「いやあああああ!!」
耳もとに囁かれた甘い声に、ユウナが真っ赤な顔で飛び上がり、サクの頬に張り手を食らわした。
「……あいつすごい。なんで目隠しされてるのに、イルヒを片手で摘まんで放り出し、片手でユウナを抱きしめられるんだろう。見えるのかな」
「ユウナもさ、見えない状態でよくためらいなくほっぺを叩けるよね」
「なんであいつ、叩かれているのに口元笑っているんだろう?」
「というかさ、シバ……。突然一気にぶわりと鳥肌たてて先頭から戻って来て、サクに刀向けたけど。サクがユウナになにを言ったのか、聞こえたのかな。あんなに遠い距離から? 俺、ここにいても聞こえないのに」
「すげぇや、サク……目隠しして、剣でシバに応戦してる。なんで避けられるんだろう」
「あれ。今、頭の上から落ちたのなに?」
「あ、イルヒが拾って、喜んで振り回してる…。あ、なにか吐いた?」
・
・
・
・
そして、行き着いた先――。
嬉々とした"兄貴"という子供の声が向けられたその場で、ユウナとサクの目隠しが外された。