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吼える月
第20章 対面
「"玄武の……武神将"? シェンウ姓は、確かに玄武の武神将の家系に与えられるものだと聞いたことはあるが……」
その肩書きに、刀を引いたギルがイタチを片手で取りながら、不愉快そうに言い捨て、シバを見た。
シバは不審気に、サクとユウナを交互に見ている。
……そうは見えないのだろう。
ギルが豪快に笑い出した。
「シバの観察眼でも結論つかずということは、その要素は可能性としてあっても、鵜呑みにするには不審点があるということ。ならば決定的だ。
まさかこの亀で"玄武"を信じろとでも言うのではないだろうな。玄武の武神将など、ご大層なものを名乗るこの不届きものめ」
せせら笑い、床に放り捨てられるイタチを、イルヒが両手で受け止めた。
「隣国だからと騙せるとでも思っていたか。生憎この国では、俺達が一番早く情報を収集できる。
だからもう知らせは受けている。
黒陵国の姫は、本日の早い時間、新たな祠官となったリュカだとかいう男と婚姻したと。数日後、蒼陵国にくるようだ。青龍の祠官と武神将に挨拶をしに」
それは憎々しげなギルの声。
「はああああ!?」
「なんですって!?」
ユウナは、サクと顔を見合わせた。