この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第20章 対面
 
「一年前……。浮島実験がなされていた後に、青龍殿が海に移動、地殻変動が起り、青龍殿は渦にて断絶され、そして…ジウ殿は大人を集めて…」


 サクは解せぬ顔をしながら腕を組んだ。


「集った大人は、どうやって青龍殿に行き、今どうしてる?」

「あの男が言うには、青龍殿から出される特別な船に、言うだけの人数を乗せれば、潮の流れが青龍殿に導き、さらにその時だけ渦が引いて青龍殿前に行き着いていると思う。望遠鏡で見る限りでは、青龍殿に船から人は下りている。だがその後はわからない。青龍の捧げ物として人柱になっているのか」


 サクは再び難しい顔をして考え込んだ。


「どうしたのサク?」

「姫様、一年前……、黒陵で地震騒ぎありましたっけ?」

「地震? ……なかったと思うわ」

「蒼陵が大規模な地盤沈下が起きるほどの災害を、どうして隣国では感じなかったんだろう……」

「玄武の力が守ってくれていたからじゃ?」

「……互いに干渉できない、神獣の力……。だったら、青龍に異変があっても、イタ公は感じ得ないか……」

「え?」



「なあ、シバ。浮島生活をジウ殿が推奨し始めたのは、一年前の春か?」

「え、あ、ああ……確か、春だったな……」



 サクの細められた眼差しは、さらに剣呑なものとなった。



「もうひとつシバ。お前はリュカを見たことがあるか?」

「例の、黒陵の新祠官か?」

「ああ」

「知らないな。美しい黒陵の智将で、黒陵の姫と婚姻するという噂だけは知っていたが……」


 それを聞いてユウナが、くっと唇を噛んで俯く。

 サクがユウナの手を包むように優しく握りしめると、ユウナもまた優しく握り返し、自分は大丈夫だと伝えてきた。


 それに小さく笑いながら、サクは真摯な顔をシバに向けて言う。



「シバ。俺はジウ殿に会う」

「は!?」


 シバの目が怒りに見開いた。



「ジウ殿の変貌には、リュカが関わっているかも知れねぇ」

「え!?」


 今度は、顔を上げたユウナの目が見開いた。


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ