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吼える月
第21章 信愛
サクは、ユウナの両手に指を絡めあわせて、口で施す優しい愛撫を再開した。
ただいたづらに力任せに刻印をつけるのではなく、ユウナの心を溶かすように。
サクがユウナの胸元に優しく落とす唇のひとつひとつに、言葉にならないサクの愛が込められる。愛おしさを隠さず、体全体で愛を伝える。
好きだと。
愛していると。
ユウナの敏感な部分は、触られたくてうずうずしているのに、互いの体の興奮をあげるというよりは、自分の心を優しく包み込むようなサクの愛撫に、ユウナの心はきゅうきゅうと疼いて、その心地よさに酔い痴れる。
体の一番感じる部分は、心だったのだろうか。
そんな疑問を感じながらも、サクが情熱的に熱を伝えるのが、嬉しくて幸せで、気持ちがふわふわとした。
「あ、あぁ……っ、サ、ク……っ」
はしたなくはだけられている胸元に潜り込むようにして、口をつけるサクが愛おしく、両手で頭を抱きしめるようにして、もどかしい快感に身を捩る。
それは一見、愛し子を抱くような慈母の姿でありながら、女としての喜びに喘ぐ淫らな表情は、母が子に持つものではなく。
そして嫋やかな体に、自らの熱を分け与えるその仕草は、子供が母に願う無償のものではなく。
ユウナの鼻を擽るのは、サクの"男"の香と仄かな酒の匂い。
拭っても拭いきれぬ残香が、思考力を奪っていく。
サクが動く度に聞こえる、衣擦れの音。
胸に頭を突っ込みながらちゅくちゅくと淫らに響かせる、肌になされる接吻の音。
時折感じるサクの喘ぐような熱い息――。
サクの存在に眩眩(くらくら)が止らない。
その時、直に乳房を強く押され、ユウナはぴくんと身じろぎした。
周囲から包むように揉み込まれている…というよりは、胸の谷間から外に回り込むようにして、胸の頂きにある蕾を故意に揺らされ、擦りつけられ。
敏感な胸の蕾は次第に尖り、さらに上からはサクの熱い舌が谷間を蛇行して乳房の側面を舐め上げては、食むように強く吸われて、同時進行でなされる胸の攻めに、さざめく体の震えがとまらなくなる。
ユウナの嬌声が一際大きくなった。
「だめ……っ、サク、や……。あ、んっ。そこ、先っぽを強く引っ張らないで……やぁんっ、駄目ったらぁ……っ」