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吼える月
第21章 信愛
『元々儀式を通して、姫とお前の波長は重なったのだ。小僧、お前…姫と結びついたことに、内心かなり興奮しておろう? 身体が熱いであろう?』
図星をさされたサクは、バツの悪そうな顔を横に背ける。
そこには艶を強めさせるユウナの姿。
……サクの自制心が揺れ出す。
『小僧が発情すれば、姫もまた発情する。その強さは比例の関係。そこに我が力を少し流し、姫の感応力をあげてより小僧の感覚に近いものにした。つまり今の姫の発情は、今の小僧の発情ゆえということ』
「ななななな!!」
『姫を安定させるためには、姫と同調始める小僧がひとり快楽に"達して"そのあまりある発情をすっかり無くすか、それとも姫ひとり快楽に"達して"満足させるか、それともふたり同時に"達する"か、ふたり発情を無くすか』
「お、お前……っ、これから色々しないといけねぇ時に、なにやりやがったんだよ……!! 俺を煽ってどうするよ、お前神獣だろ!? 淫獣じゃねぇだろうが!!」
『我は神獣であるが、"彼の者"は神獣にあらず。だからいいのだ』
「よくねぇよっ!!」
『小僧。互いの変調を互いが感じ取るのが、儀式による相互の結びつき。より近い相乗した関係になるか、お前がハンほどの力の使い手にならねば、遠隔的に守ることは不可能。今お前達は各々の感覚をもてあますだけで精一杯。相手の気を、相手に流れる我の力を、制御する……これから必要になろう遠隔制御の練習と思え』
「……んなこと言ったって、大体姫様がそんなことを許すわけ…。幾らなんでもそれは……。別に姫様と想い交わしたものでもねぇし、大体俺、盛ってばかりだと思われるのは…。今までは"理由"があったからで…」
男としての葛藤。
それを見て取り、イタチが欠伸をしながら言う。
『それにしてもあの姫、よく耐えている方だ。だがどうにも辛くなってきたらしい。だから男のお前に察して欲しいと、隣に呼んでいるのにお前が拒むから、可哀相に姫は……』
「――はっ!?」
サクは慌てて、俯きながらなにやらぶつぶつ唱えるユウナを見た。