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吼える月
第21章 信愛
「理由……、なくてもいいんですか?」
「サクならいい」
甘えるようにユウナはサクの首に埋めた顔をもぞもぞと動かした。
「どんなにはしたない格好させられてすっごくいやらしいことされても、サクならいい。……許してあげる」
「……。……それは、ありがとうございますというべきなんですか? それとも、理由という"建前"必要とせずに、すっごくいやらしいことをせがまれていると思えばいいんですか?」
墓穴を掘って、ユウナの身体がびくりと震えて固まった。
「たとえば?」
サクの意地悪な声が、ユウナを攻め立てる。
「……ねぇ、姫様。俺、好きな女の身体をこんなに愛したくてたまらねぇと思うのは姫様が初めてなんで、経験値がねぇんです。だから教えて下さい。どんな格好がはしたなくて、どんなことがいやらしいことなんですか?」
確信犯的にわざと耳で囁くのだ。
「そんなことされると、姫様……どうなっちゃうんですか?」
誘惑するような、艶ある低い声で。ゆっくりと。
「姫様が先刻指で触っていたところ、どうなるんですか?」
「………っ」
ユウナは固まったまま反応しない。
「……姫様、顔見たい」
「嫌」
ユウナの顔は真っ赤だった。蕩けきったその顔は、サクの言葉により過去なされた色々を思い出した、扇情的な女のもの――。