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吼える月
第22章 不穏
「……はい?」
肉弾戦を始めるに至るふたりの大声の会話。それを聞いていたユウナの顔が引き攣った。
「……待って、待って!!! 聞かれたの、ねぇ、シバに聞かれたの――!?」
呼応したのは、傍にいたテオンとイルヒ。
「……えぇと……。厳密に言えば、僕と……」
「え、えへへ。あたいと……兄貴、かな?」
ふたりは気まずそうに笑う。
「シバだけじゃなく……四人も!?」
「あ、だけどお姉さん、安心して。猫が発情しているからと、僕は途中から兄貴に耳を塞がれた」
「お嬢、あたいもシバに耳を塞がれていたから、お嬢が猿とどれだけ激しいことをして終わったのかは、よくわからない。だけど……」
「「ごちそうさまでした」」
「いやあああああああっ!!」
跳ねるように立上がったユウナの膝から、またとろとろとし始めたイタチが空を飛んだ。