この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第22章 不穏
 

 シバの顔や声には偽りの色が見られず、サクはため息をついて頭をがしがしと掻く。


「すまねぇっていうべきか? 俺……」

「3日までに帰れたらの話だ。……それよりお前、慌てた様子がないってことは、あの渦をなんとかできるとでも思っているのか? 渦だけではない、オレ達ですら顔を合わせられないジウと、会えるとでも?」


「ああ」


 サクは不敵に笑う。

 シバとギルは訝しげに目を細めて、サクを見つめた。



「お前は、ジウの本性を知らなすぎる」



 だがサクは薄く笑うだけで。



「ジウ殿に会うために、人手が欲しい。ひとりだけでいい」

「ひとり、だけ? お前、海をなめているのか。さっき散々……。もしやオレを使う気か? それともギルを連れて、ユウナの安全を……」

「違う。3日間、姫様の安全はシバに任せた。信じるといった言葉に、二言はねぇ。姫様、俺はシバを信用します。いいですね?」

「あたしは、サクが信じるものを信じる。いいも悪いもないわ」


 ユウナは朗らかに答えた。


「よろしくね、シバ」

「……ちっ。姫様、別に仲良くしなくていいんですからね。イルヒとイタ公と居て下さい、いいですね、復唱……覚えてますね!?」

「わ、わかったわ……」


 そしてサクは、シバに向き直る。


「無論ギルもいらねぇよ。なにが嬉しくて、ジウ殿と会うために、ジウ殿とそっくりな、こんなむっさい男と船旅しねぇといけないんだ。俺にだって"息抜き"くらい欲しいんだよ」


「くくく。む、むっさい……っ」

「だめだよ、イルヒ。そこは笑う処じゃ……くくくく」




「俺が欲しいのは、テオンだ」




 イルヒを宥めながら共に笑っていたテオンが、その場で飛び上がる。



「な、なんで僕!?」
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ