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吼える月
第23章 分離
「なんか言ってよ、気持ち悪くてたまらないんだよ」
「お前何歳だ?」
「僕はさんじゅ…――っ!?」
途中で言葉で切ったテオンの顔が蒼白となる。
「はあああ!? お前、俺より年上だったのかよ!? 童顔もほどがあるだろうよ!?」
「だ、騙したのか!?」
「お前が勝手に言ったんだろうが!! 思い出せ、どこに俺が責められる要素がある!?」
「………っ、……うううっ、突然言うからっ!!」
「……ふうん? 否定しないわけだ、三十代だってことは」
「――!!!!????」
蒼白なテオンの顔が真っ白になった。
狡猾さとは程遠く、実に素直に反応を返し続ける、子供のようなかなり年上の男だということはわかった。世間慣れしてそうで世間知らずなのかもしれない。閉鎖的な場所で長らく純粋培養されていた、そんな印象も受ける。
……年上であるとは、思ってもみなかったのだが。
「だけどまあ、手際の良さとか子供達の指示の仕方とか、しっかりとした物腰とかみてれば、確かにシバくらいの大人であってもいいかもしれねぇけどよ、だけど十代前半でも違和感ねぇってなによ、お前!!」
男前というよりは愛嬌のある顔。
毅然というよりは人なつっこい態度。
どう見ても、ギルやシバの方がテオンより年上に思える。
「くっ!!! 言うなよ、僕が気にしていることを……」
「お前が気にしてるのに、なんでそんな子供のふりしてギルやシバの元にいたんだ? 皆も知らねぇだろ、お前の年。なんでそんな年で【海吾】に?」
「それは僕が、し……」
「し?」
「――っ!!! も、もう騙されないからな!!」
テオンも学習したらしい。
誘導尋問だと言うことを事前に悟れるようになった。
だが逆にそれで確信がついた。
「お前、祠官だったのか」
なにかを言おうとして口を閉ざしたのは、口を開くと墓穴を掘るからなのか、別の理由なのか。サクは前者だと受け取って続けた。
「だから、お前……、あの青龍もどき怪物を臨場感溢れた形で再現出来てたのか……」