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吼える月
第23章 分離

 
「だけどねぇ、結局裸でなにをするの? 愛し合う男女は裸になるって聞いたんだけど、なにをするのか聞いてもよくわからなくて。だから知ったふりをしているんだけれど。女の穴に男の棒を入れるってどういうこと? あたいのどこの穴に、テオンの棒が入るの?」

「ゲホゲホゲホっ!!」


 思わずユウナは咽せこんだ。

 意識が遠のきそうだ。


「大丈夫、お嬢?」

 まるで大丈夫ではないのだが、咳が落ち着くとイルヒは自動的な話し始めた。

「でさ、裸になったんでしょう? なにをしたら、なにをされたらあんな猫ちゃんみたいな気持ちよさそうな声がでるの?」

「うううっ!!」


 子供の純粋な質問に答えられないのは、穢れた大人になってしまったようで、真っ赤な顔でユウナは言葉に詰まる。


「兄貴がよく、外部から連れた胸の大きい女に裸で取っ組み合いみたいなことをしてるんだけど、あんな痛そうなことしてるの? 穴に棒入れるだけじゃなく、首締めたり、お尻叩いたり?」

「はい!? なにそれ。首締めるの!? ギルは殺そうとするの!?」

 快楽の世界にそういう趣向があるということを知らぬユウナは、目を大きく見開いた。


「どうなんだろう。よくわからないんだけど、とにかく叩いたり殴ったりするから、女が猫ちゃんみたいな声というよりも、恐怖の絶叫をあげるんだよね。だけどお嬢の場合、そんな声じゃなかったから……。猿は首締めないのなら、どんなことしてるの? どこの穴に入れられたの?」


「いや、あの……」

「どういうことすれば、あたいもあんな可愛い猫ちゃんみたいな声が出るの? そうすればテオンは好きになってくれるかな」


 無性に居たたまれない。

 汗をだくだくとかいて逃げようとするが、イルヒが腕を掴んですぐに座らせる。


「ねぇ、教えてよ。あたい、こういうこと話せるのお嬢しかいないんだ」

 縋り付くような潤んだ目を向けられれば、ユウナは見捨てられない。


「――~~っ」


 それで結局は、話を続行する羽目になる。


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