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吼える月
第5章 回想 ~終焉そして~
 


「早く……終わらせて……」


 涙が混ざったような……か細い声が漏れる。



 サクを見たい。

 だけど見たくない。


 きっとこんな痴態をさらす自分を、侮蔑の眼差しで見ているだろうから。

 サクを苦しめる男に、身悶える女など……もうサクは見向きもしないだろうから。


 それでも信じて欲しい。

 サクを救いたいのは、変わらぬ真実なのだと。

 どんな姿になりはてても、その心だけは守り抜くから。


 多分、これがサクに出来る最後のこと。


 今までありがとう。

 大好きだった。

 ずっと一緒にいたかった。


 ハン、どうか少しでも早くサクを助けにきて。

 きっとその時はもう……あたしはこの世にはいないだろうけれど。


 虚ろな顔のユウナの目は、リュカが手にしたままの小剣に注がれる。

 

 そして――

 ユウナの顔に、一瞬だけ生気が宿った。



「命令に従いなさい、リュカっ!!」


 その恫喝めいた威圧的な風情は、彼女が生まれ持つ姫としての誇りのなせるものだった。


 そしてそれに気圧されたようにリュカは……ひとつ息をつくと、自らの下衣を下げた。



 そこには隠しようもないほどの……、


「――っ!!」


 ユウナの姿に反応した、雄々しく天に向けてそそり立つ肉棒があった。
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