この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第24章 残像
 
 
「浮石での土地にするにあたって、一番の問題はそこだったみたいだ。だけどそれを、変貌する前のジウが解決したと聞いてる。どんな方法かはわからないけれど、きっと青龍の力かなにかを使ってじゃないのかな」

 テオンの情報も口伝えらしく、曖昧だった。


「おいおい、だったらジウ殿が青龍の力を使い続けているってことか? それはありえねぇわ。幾らあの人が化け物じみていても、この蒼陵全体に力を放出し続けるとなれば、とうに体力気力無くして朽ち果ててるぞ。そうなったら、至る浮石の建物が、いや街ごとぷかぷか移動しててもいいし、なにより……」


 サクはイタチの言葉を思い出す。

 この国で、同胞の青龍の力を感じない、ということを。


 青龍の力を感じ取れないということは、青龍殿を常に守り、仕掛けで人為的に制御出来るという、不思議な渦の存在も同様だ。


「つまり、今の蒼陵やら青龍殿に関わっているのは、神獣以外の力、ということか。それはイタ公が感じ取れない種類の。テオン、お前、自分と同じような特殊な力を持つ奴を知っているか?」


 テオンは首を横に振る。


「第三勢力がある、のか?」


 考えれば考える程、結論は出て来なかった。



 船を上陸しやすい浅瀬に停め、テオンとサクは降り立った。


 生温かい風がサクの髪を揺らす。



「……?」


 その時なにか視線を感じて、サクは警戒を高めて周囲を見渡したが、動いているものはテオンと波しかなく。そして妙な気配はもうなくなっていた。


「………」


「サクお兄さん?」


「……なんでもない、さあ行こう」




 感じた気がしたのだ。


 生きている、人間の視線を――。


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ