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吼える月
第24章 残像
そしてテオンは――。
「ねぇ、神獣の力が効かない『反射の陣』って、もしや『神獣真儀』に書かれていた、神獣封じの奴!?」
やけに興奮気味だった。
「知らねぇよ、俺は本なんて読まねぇし」
「だよねぇ、お兄さん本を読むくらいなら身体動かしてそうだもの。もしも祠官に伝わる秘伝書の『神獣真儀』の中に書かれていたものであれば――。
『神獣真儀』は古代文字で書かれた、防御に秀でた祠官に代々伝わる特殊な本なんだ。それを読むには、今は倭陵から消えたと言われる神獣文字を理解していないといけなくて、僕も祠官になろうと必死に学んで、ようやくかろうじて一部理解できたほどの難解なもの。本能で生きるお兄さんが読めないのは無理ないけれど」
「……おい」
「それをここに施せるのって……、確かジウも神獣文字読めたはずだから、父様かジウがしたのかも。……いるのかな、それとも事前?」
「わからねぇが……。とにかく扉のあれが『反射の陣』であるのなら、無駄に力使って窮地に追い込みたくねぇ。とにかくは外に出るという選択肢を考えるより、祠官の部屋に行き着くことを考えよう。……テオン?」
反応がないテオンを心配し、サクはポンポンとテオンの身体を手で叩いて見る。
「お兄さん……。あの燈篭……」
「え?」
「僕が火をつけたはずのあの燈篭がへんだ」
テオンは、神妙な声を出した。