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吼える月
第24章 残像
「だったらいっそ、全部つけてみて、最初からやり直すか? やり直しが可能ならばの話だが」
「あんなに大変な罠が発動している最中、ちんたらと火なんかつけてられないよ。矢の来る方向は、都度変わるんだし。それに全部火を灯して、罠が発動されたのは確か。それがこの無限回廊を抜ける"正解"ではないのもわかっているから、試すなら違うものがいい」
「じゃあ消すか? 」
「全部消したら…というのは最終手段にしよう。いいだけ罠が発動されている状態で、全部消したら罠が止まる可能性は絶対ではないから。真っ暗の中で別の罠が動いたら、危険極まりない。それに真っ暗だったら観察出来ないからね。ああ……まずはなにから手をつければいいのか…」
「なあ、テオン。まずは確固たるところを確認していこう。すべて可能性だけで話を進めたら、今以上に八方塞がりになる。
形状や長さが変わっても、毎度共通して固定しているのは、入り口の扉と燈篭の廊だけ。これはいいな?」
「そうだね。その後から微妙に変わっていく」
「だったらやっぱ、"分岐"を操作しているのは、あの燈篭が臭い。これは間違いねぇ」
サクは目を鋭く光らせる。
「あの燈篭に仕掛けがあり、そのために罠が発動して俺らは入り口に戻されているのだとしたら。やはり怪しいのは、初回と違う燈篭の灯のつき方だ。
それを調べるために、今はすべて燈篭をつける方法と、すべて燈篭を消す方法は考えず、どれかを着けてどれかを消して…の、当然命かけた危険な作業になるが」
「そして問題点勃発。燈篭の数はすべてだと30以上。お兄さん、今消えている数はざっと見でどれほど?」
「10……切れるくらいだな」