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吼える月
第24章 残像
「30以上の燈篭を、何個消せば正解なのかそれすらわかっていない。罠解除するために、どこかの燈篭ひとつだけ消せばいいのか、それともどれかひとつだけつければいいのか、それすら不明。
さらにそうした、なんとかしなくちゃならない燈篭の数が多くなればなるほどに、試していかないといけなくなる組み合わせ数は膨大になっていく。そんなことをしてれば、完全に夜が明ける。それでも終わるかどうか」
「俺は3日で姫様のもとに戻る。2回目の日没までに。ぐだぐだして時間は潰したくねぇ」
「だよね。僕だって、お姉さんと兄貴が……なんて考えたくないし、ここはお兄さんとの友情にかけて、時間を無駄にしたくないから、燈篭が必要にならなくなる朝日が昇る前までには決着をつけたい」
きりりとした声が頼もしく感じるサクは、薄く笑う。
「そこでお兄さん、質問。罠というものに縁があったというお兄さんならば、罠とはどういうものだと答える?」
「罠とは、"正解"を隠す為に存在する」
そう、シェンウ家では正解を本能で探す鍛錬を強いられたのだ。
「多く仕掛けられた罠というものに共通して。その"正解"はどんなところにあった?」
「勿論、わかりにくいところにあるのが常套だ」
「……だよね。そう考えれば、常に剥き出しで出ているあの燈篭というものは、"正解"を隠すわかりにくいものだと思う?」
サクは目を細めた。