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吼える月
第24章 残像
「なんで、なんで喋るの!? 今までどんなに古い文献読んでも、神獣と会話出来た祠官や武神将なんて出て来なかったよ!? ましてや愛玩動物のような神獣なんて!! お兄さんのお父さんは…最強の武神将もそうなの!?」
「親父は、性格は砕けてるのに職務はガチガチ古風で、神獣を称えてはいたが会話も全然だったな。玄武がイタ公になったのは、俺の代からだ。まあ…神獣の突然変異だな。イタ公も色々あって妥協の末のあの姿だ。本人が気に入った姿くらい自由にさせてやってくれよ。愛玩動物みてぇで可愛いだろう」
「……神獣ってそんなもの? え、僕が祠官になろうと学んできた神獣青龍は、神々しい神気に満ちて威厳があって、畏怖と尊敬の対象で…。え、神獣って突然変異するの? まさか変異したから蒼陵国は……」
「イタ公が言うには、青龍はちゃんとこの国にいるらしい。だが反応がねぇって、また涙ぽろぽろさ。イタ公のためにも、青龍の奴に喝いれねぇといけねぇんだよ。ああ、早くこのにょろにょろ問題解いて、ここから先に進まねぇと……」
「え……。神獣……え……亀、イタチ……。え……青龍も、本当にょろにょろになるの? それとももうなってるの? 蒼陵の神獣がにょろにょろ…」
よほどショックだったのか固まるテオンの背中を、サクは手でぱんぱんと叩く。
「なあ話戻すけど。関連性がわからない以上、俺踏ん張るから、燈篭の文字全部読めよ。あ、紙と筆ないか…。ん……、正解に行き着くまで、何周か回るの覚悟してた方がいいな」
「紙と筆って、なにするの?」
テオンが気怠そうに聞く。
「燈篭の文字だよ。燈篭は30個以上あるんだぞ? 2文字ずつあるのなら、最低60個、どれがついてどれが消えていたかを含めて、書き留めておかねぇと……」