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吼える月
第24章 残像
「まさか、燈篭の灯りが消える基準までは変わってねぇよな…。消えている燈篭の数も、さっきと違う気はするが…。テオン、灯りが消えた手前から2番目の燈籠のにょろ文字は、こんなのとこんなの、4番目はこんなのとこんなの。どうだ?」
サクが見せた指の動きに、テオンもやはり同じく指を動かして、嬉々とした声で言った。
「"開"と"符"、"生"と"天"!! 推測通りだ!! 消えた燈篭の規則性は変わっていない。2つの古代文字が吉を示した燈篭が消えているんだよ。
だったら、燈篭、ついているところを消して、消してある燈篭に火をつければいい」
逆にすればいいと、テオンは断言する。
「そんな単純な方法で本当に大丈夫か?」
「………………多分」
「なんだその長い間」
「いや、"わかられた"時の罠って、ないのかなって」
「あるだろうよ、当然」
「じゃあ、どうす……あわわ」
突然走り出したサクに、テオンは焦った声を上げる。
「勿論、その時に考える!!」
何度目になるか、踏み出した廊に、待ちかねていたとばかりに矢が狙う。
そぎ取ったはずの仕掛けは、刃の傷すら残さず復活していた。
その事実に戦意を消失どころか逆に意気揚々とし始めたサクが、テオンが燈篭作業しやすいように身体を固定させながら、刃を固定させた剣を旋回して矢を切り落とす。
そしてテオンが、まず最初の燈篭の火を、息で吹きかけた時だった。
……燈篭すべての火がついたのは。
同時に矢の攻撃も止まり、サクは怪訝な顔を仕掛けに向けた。
「なんだ? 術が解けて、テオンが全部灯をつけた最初の状態に戻ったのか!?」
だが、テオンは焦った声を出した。
「やば。やばやばやば…。違うよ、やっぱり"わかられた"罠だっ!!」
「あ?」
「消えないんだよ、火!! ふぅふぅもぱたぱたも!! ゆらゆら炎が揺れるだけ。不正解の燈篭の灯が消えないと、術は解けないのに!!」