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吼える月
第5章 回想 ~終焉そして~



 乱れた吐息を放つ小さな唇に迎え入れられる、リュカの肉棒。

 その口淫のやり方を指示する男は、自らの肉棒で花蕾を蹂躙する。


 惨たらしくも……倒錯的な場面。


 サクという人格の理性と、男が共通して本能として秘める加虐性。

 ユウナに愛しさを募らせ、自分を含めた"男"への憤怒に狂いそうなサクだからこそ、錯覚してしまう。


 ああ、ユウナに触れるのが自分であったらと。

 男を知らぬユウナの初めてを貰い、その口で愛されて奉仕されているのが、自分であったらどんなにいいかと。


――ああ、お前の花襞は……絶妙だ。……あ、ああっ……余のモノがはちきれそうだ。さあ、啼け。余のモノで啼くのだっ!!


――……っ、あ……。


 金と銀は動静対照的に、だが同じ悩ましげな声を上げる。

 ユウナの体で快感を覚え、果てに導かれている。


 だがユウナは生気ない顔で、ただ拷問に耐えているような凄惨な表情しか見せていない。


 それが、サクの倒錯的な妄想を壊した。



 姫様……姫様……ユウナ……。



 俺だったら……。

 俺だったら、ユウナにあんな顔をさせないのに。

 もっと愛おしんで、もっと蕩けさせてやるのに……。


 そう、自分は違うのだと。

 自分は嫌がるユウナを組み敷いたりしないのだと。


 そう思えばこそ、男としての誇りを取り戻す。


 動け、動け、俺の体――っ!!

 体を支配しているのはあの男じゃなく、俺なんだ!!

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