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吼える月
第5章 回想 ~終焉そして~
 

 目の前で……リュカがユウナを破壊させる凶言を吐いていた。



「死ねぬ呪いをかけてやる。

苦しみ続けろ――永遠に」



 それはリュカが初めてユウナに見せた、剥き出しの憎悪。


「僕はお前が……死ぬほど憎かった」



 ユウナの前髪を荒々しく掴みながら、ユウナに対する愛情すら木っ端微塵に破壊した。惑いも優しさもなにもない、ただ冷酷な男の顔で。



「生涯覚えておけ、僕の名を。さあ、言え、僕は誰だ!? 言うんだ!」


 それはまるで、ユウナの心身に深く刻む呪詛のように。



「……リュ…カ……」



 ユウナの声が掠れ、引き攣った。



「もう一度言えよ、お前を心から憎悪している男は誰だ!?」


「リュカ……」



 見ていられない。

 一刻でも早くユウナのもとに駆けつけなければ、ユウナが死んでしまう。

 ユウナの心が、吹き飛んでしまう。



――ナンジ、ナニヲササゲルカ?



 サクは、心の声に心で応えた。



「僕は……お前が死ぬまで、憎み続ける。


苦しめ……ユウナ」



 俺の"命"を。



 俺の命と引き替えに、ユウナを守る力を!!

 愛した男から心まで破壊されるユウナを、救い出して守れる力をくれ!!



――……イノチナクセバマモレナイ。ナンジノコトバハムジュンシテイル。



 ならば……親父と。

 親父と会えたら、俺の命をやる。


 7日。


 それまででいいから――!!



――リョウカイシタ。ケイヤクノシルシニ、オマエノキバモライウケル。ケイヤクノシュウリョウマデノキジツハ、オマエノカラダニキザム。



 そして――。




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